症例紹介Case

モルヌピラビルによる猫伝染性腹膜炎FIPの治療 症例報告や当院における治療費用・治療成績・投薬期間について

川崎市多摩区のトレア動物病院です。

今回はモルヌピラビルで治療を行ったFIPの猫ちゃんの症例報告と当院における治療費用・治療成績・投薬期間などについてお話します。

実際の症例について

まずは症例ですが、初診で来院された5ヶ月の子猫ちゃん

各種検査にて猫伝染性腹膜炎FIPドライタイプと診断されましたが、飼い主様が費用面で治療を行えないとのことでしたので、当院で引取って治療を開始しました。

あの白毛のアイドルホースの名前を頂き、ユキチャンと名付けました。真っ白もふもふの可愛い子猫です🐱

初日はふらつきがひどく、まともに歩くことができませんでした。モルヌピラビル 1日2回、シクロスポリン1日1回にて治療を開始しました。神経症状の出ているドライタイプのため通常よりも高用量にて使用しています。

治療開始1週間後には多少ふらつきながらも長時間歩けるようになりました😀

治療開始から3週間後

なんと、ねこじゃらしで遊べるようになりました😀

その後84日の投薬を終え、投薬終了5ヶ月後(2024年8月時点)においても再発は認められていません。

FIPは治る時代になりました(T_T)

実際の治療費用について

当院における治療費ですが、モルヌピラビルの薬価代だけでいえば、約3kgの猫ちゃんで2週間あたり7500円から15000円くらいになります。少し大型の猫ちゃんでも10000円から20000円くらいです。血液検査の費用などを併せた、84日間の治療期間でかかる費用の総額は20万〜30万円程度となります。

安すぎると思いますか?しかし、これが適正価格だと思います。

中国製の違法薬品(mutianなど)を使用した100万円以上かかる猫伝染性腹膜炎FIP治療はもうすぐ終焉を迎えるでしょう。誰もが平等に適正価格で治療を受けられるようになってきています。FIPと診断され、高額な治療費がかかる治療を提案されて困っている方は是非当院までご相談ください。

モルヌピラビルについて

コロナウイルスの遺伝子であるRNAを複製するための酵素を阻害する、RNAポリメラーゼ阻害薬に分類されます。

国内ではラゲブリオという製品名で販売されていますが、薬価がかなり高額になるため、当院においてはインド製のジェネリック医薬品を使用しています。ジェネリック医薬品ですが、特に品質に問題を感じたことはありません。

mutianやレムデシビルなども同様のRNAポリメラーゼ阻害薬です。それらの薬剤の優劣を比較した試験はありません。発がん性を指摘する声もありますが、あくまで細菌を使用した試験において突然変異がみられたというものだけで、マウスやラットにおける試験ではそのような遺伝子の異常は認められなかったようです。

そちらについてはこちら厚生労働省のQ&Aを参照くださいhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q5-8

そして当院でモルヌピラビルを用いた症例でも、治療終了後に血液検査で異常を認めた症例はゼロです。

治療成績について

初診時にかなり具合が悪く、治療開始1週間後に亡くなってしまった症例を除けば治癒率は100%です。

全頭が2週間以内に臨床症状の改善を認めています。

治療終了後4ヶ月はモニタリングを行っていますが、再発症例もゼロとなっております。

*ウェットタイプはかなり進行が早いため、FIPの疑いがある場合はPCR検査の結果が出る前に投薬を開始しています。それも良好な治療成績に関係しているのかもしれません。

治療期間について

FIPの治療というとなんでもかんでも84日間の投薬が必要、というわけではありません。

当院ではある数値をモニタリングしながら、その子にとって最適な治療期間を提案させて頂いてます。

回復が早い子など56日で投薬を終了したこともあります(再発なし)。70日で投薬終了した子も多数います。

今後データの集積が必要ですが、84日も投薬する必要は無いと考えています。

当院におけるFIP治療についてはこちら↓↓

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