🐱猫の下部尿路疾患(FLUTD)徹底解説― 膀胱炎・尿石症・尿閉の理解と予防のすべて ―
こんにちは、川崎市多摩区生田(中野島)のトレア動物病院です。
猫の泌尿器トラブルは、飼い主さんが悩むことの多い症状のひとつ。
特に多いのが「下部尿路疾患(FLUTD)」と呼ばれるカテゴリーです。
本記事では、学術的な背景・診断・治療法・再発防止策まで、わかりやすく丁寧に解説します。
🔍FLUTD(Feline Lower Urinary Tract Disease)とは?
FLUTDとは、猫の膀胱および尿道に関連する疾患群の総称です。
症状には以下が含まれます:
- 頻尿(何度もトイレに行く)
- 排尿困難(うずくまる、苦しそう)
- 血尿(ピンク~赤色の尿)
- 不適切排尿(トイレ以外で排尿)
診断は、血液・尿検査、画像診断(X線、超音波)などを総合的に行います。
🧪主な原因疾患とその特徴
1. 猫特発性膀胱炎(FIC)
FLUTDの中で最も多い原因で、診断時の約50%以上を占めるとされています。
明確な感染や結石がなく、ストレスや自律神経の異常が関与していると考えられています。
- 症状:頻尿、血尿、不適切排尿
- 好発:若齢〜中齢の猫に多い
- 診断:除外診断(他の原因がない場合)
ストレスが鍵
引っ越し、新しい猫との同居、トイレ環境の変化などがきっかけとなることがあります。
膀胱上皮バリアの破綻や神経性炎症が関与するという仮説も報告されています。
2. 尿石症(尿路結石)
ストルバイト結晶(リン酸アンモニウムマグネシウム)と、シュウ酸カルシウム結晶が主なタイプです。
- 尿がアルカリ性 → ストルバイトに傾く
- 尿が酸性すぎる → シュウ酸カルシウム形成リスク
診断には尿検査+X線または超音波が重要です。
⛑️石が尿道に詰まった場合、緊急手術またはカテーテル処置が必要です。
3. 尿道閉塞(尿閉)
特に雄猫に多い、命に関わる緊急疾患です。
- 尿道が結晶や栓で完全閉塞
- 24時間以内に腎不全・高カリウム血症で致死的になる
- 強い痛み・嘔吐・昏睡がみられることも
💡治療方針
FICの場合
- 鎮痛剤(NSAIDs)
- ストレス環境の改善(トイレ増設・フェリウェイなど)
- 水分摂取の増加(ウェットフードなど)
- 一部のケースでは抗不安薬の使用も検討
尿石症の場合
- 食事療法(療法食による尿pH調整)
- 結石サイズによりカテーテル排出・手術
- 再発防止のための長期管理
尿閉の場合
- 緊急カテーテル設置・導尿処置
- 輸液・電解質補正・鎮痛管理
- 数日間の入院管理が必要なことが多い
🧭再発を防ぐ生活管理
- ストレス管理(静かな空間・トイレの整備)
- 飲水量を増やす(循環式給水器・ウェットフード)
- 療法食の継続(ストルバイト/シュウ酸カルシウム予防)
- 年2回の尿検査・健康診断
猫の尿路疾患は「治療」より「予防とモニタリング」が重要です。
📅トレア動物病院でできること
- 尿検査(比重、pH、結晶)
- 腹部超音波・レントゲン検査
- 緊急カテーテル対応(尿閉)
- ストレスケア指導・療法食アドバイス
- キャットフレンドリーな診察環境
🎯まとめ
- 猫のFLUTDは多因子的疾患、特にFICが最多
- 尿閉は数時間で命に関わるため要注意
- 診断には除外診断と総合的評価が必要
- 再発予防には環境・食事・水分・定期診察がカギ
🐾トレア動物病院では、猫の泌尿器トラブルに精通したスタッフが、科学的根拠に基づく診療でサポートいたします。
📞 ご予約:044-396-1100
🌐 Web予約 → https://torea-ah.com