外用薬に起因した猫の皮膚病 猫の赤い斑点と痒みを主訴として皮膚病の1例
川崎市多摩区生田(中野島)のトレア動物病院です。今回はこれまで実施してきた治療が実は皮膚病の治癒を妨げていたという症例を紹介します。
この猫ちゃんは他院で皮膚の真菌症と診断され、かゆみ止めの内服と、抗真菌薬の外用薬の塗布、カラーの装着、皮膚保護服の着衣を指示されていました。当院初診時には様々な治療を受けていましたが、皮膚の痒みと赤い斑点が改善されないという主訴で来院されました。
初診時の所見で、外用薬を塗布している部位にのみかゆみ、脱毛、赤い斑点(皮膚の隆起)がみられたため、外用薬による副反応(薬疹)の可能性を疑いました。皮膚に付着した外用薬を落とすために院内で薬浴を実施、外用薬の塗布を中止、カラーおよび保護服の装着を中止をし、かゆみ止めとしてステロイド剤の内服を処方しました。2週間後の写真がこちらです↓
前医の治療に新たな治療を追加したわけではありません。外用薬の塗布、カラーおよび着衣の中止を指示しただけです。実のところ、猫にとって外用薬の塗布やカラーなどの装着はマイナスに働くことが多いです。猫は極めてきれい好きで神経質なため、体に何かが付着することを極端に嫌います。今回のケースでは外用薬を塗布する事、カラーや服を着せられることが逆効果になっていたものと思われます。このように、意外なほどに猫の皮膚病においては治療を中止すると改善するケースが多く見られます。
皮膚病に限らず猫の疾患の治療には猫の立場に立って見直す必要があります。お困りの事がございまし